ルールが作られるときに想定されている前提

ルールは、多くの場合、何かしらの問題が起きたあとに作られます。あらかじめ細部まで定められたルールが存在するよりも、現実の出来事への対応として後付けで整備されるケースの方が一般的です。そのため、ルールには必ず「作られた当時の状況」や「当時の常識」が前提として含まれています。

この前提は、明文化されることはほとんどありません。ルールの条文には書かれていなくても、「このくらいは分かっているだろう」「このように運用されるはずだ」といった暗黙の想定が置かれています。ルールを守る人の知識水準や判断力、善意の行動までが、前提として組み込まれていることもあります。

ルールが作られた直後は、その前提が現実と一致しているため、運用は比較的スムーズに進みます。しかし、時間が経つにつれて状況は変わります。組織の規模が変わり、関わる人が入れ替わり、業務内容や外部環境も変化します。それでもルールだけが当時の前提を引きずったまま残り続けることがあります。

その結果、ルール自体は守られているのに、現場では違和感が生まれます。形式的には正しいが、実態に合わない。目的は達成されていないのに、手順だけが重視される。こうした状態に直面すると、さらに細かいルールを追加して対応しようとすることが少なくありません。

しかし、それは前提のずれを修正するのではなく、ずれた前提の上に新たな前提を積み重ねることになりがちです。結果として、ルールは増え続け、全体像はますます見えにくくなります。

ルールを見直す際に重要なのは、条文の正しさではなく、「このルールはどのような状況を想定して作られたのか」を問い直すことです。当時は自然だった前提が、今も成り立っているのかを確認する。その作業を抜きにして、ルールの修正だけを行っても、根本的な違和感は解消されにくいのです。