制度は、一定の前提条件のもとで公平に運用されることを目的として作られます。しかし現実の運用では、すべてのケースが想定通りに収まることはほとんどありません。そのため、多くの制度には例外対応が発生します。
例外対応は、もともと制度を柔軟に運用するための手段です。想定外の事情を考慮し、現場の判断で調整することで、不合理な結果を避ける役割を果たします。この段階では、例外はあくまで一時的で、制度全体を補完する存在です。
しかし、例外が繰り返されると状況は変わります。似たようなケースが何度も発生すると、「前にも認めたのだから今回も」という判断が積み重なります。やがて例外は特別な扱いではなくなり、事実上の新しい基準として扱われるようになります。
この変化は、制度の外からは見えにくいものです。条文上は変わっていなくても、実際の運用は少しずつ変質していきます。制度を守っているつもりでも、実態としては別のルールが動いている状態になります。
さらに、例外対応が増えると、制度の分かりやすさが失われます。何が原則で、何が例外なのかが曖昧になり、判断には過去の事例の知識が必要になります。結果として、制度は一部の人しか扱えないものになっていきます。
制度が歪んでいく原因は、例外そのものではありません。例外を「例外のまま」扱い続けられなかったことにあります。例外が常態化していると感じたとき、それは制度の前提が現実と合わなくなっているサインでもあります。その時点で制度全体を見直さなければ、歪みはさらに大きくなっていきます。