制度は、一定の想定のもとで設計されます。関係者の行動や判断が想定通りに行われることを前提に、手順やルールが整えられます。しかし、制度が導入されても、想定通りに運ばないケースは少なくありません。
想定通りに運ばない制度の特徴の一つは、前提条件が暗黙のまま設計されている点です。制度が想定している行動や判断が明文化されていないと、利用する側は別の解釈をします。その結果、制度の意図とは異なる運用が広がります。
また、制度が現実の多様性を十分に織り込んでいない場合も、想定とのずれが生じます。例外的なケースが頻発すると、制度は補足や調整によって対応されます。その過程で、制度の構造は複雑になります。
さらに、制度の目的が共有されていないと、形式的な運用が優先されます。手順を守ることが評価される環境では、目的に立ち返る動機が弱くなります。その結果、制度は動いているように見えて、期待された成果を生みません。
想定通りに運ばない制度では、問題が個別対応で処理されがちです。一つ一つの問題は解決されますが、制度そのものは見直されません。そのため、同じような問題が繰り返されます。
制度が想定通りに機能していないと感じたときは、運用の工夫だけで解決しようとする前に、制度がどのような前提で設計されているのかを確認する必要があります。前提が現実と合っていなければ、制度はどれだけ丁寧に運用しても期待通りには動きません。