現場での判断が尊重されていたはずなのに、次第に指示待ちの状態が増えていく。このような変化は、特定の出来事をきっかけに起きるというよりも、複数の要因が重なって進行します。
最初の段階では、判断のばらつきを抑えるためにルールや手順が整備されます。判断の質を一定に保つための合理的な対応です。この段階では、現場判断は完全に否定されているわけではありません。
次に、例外対応やトラブルが発生すると、その原因が「判断のばらつき」に求められることがあります。その結果、判断の余地は徐々に狭められ、手順通りに進めることが安全な選択になります。
さらに、判断の結果が評価や責任と結びつくようになると、現場はリスクを避ける行動を取るようになります。自分で判断するよりも、確認を取り、指示を待つ方が合理的だと感じられるようになります。
この状態が続くと、現場で判断する経験そのものが減っていきます。判断力が使われなくなることで、ますます判断を任せにくくなるという循環が生まれます。
現場判断が減っていくプロセスは、個人の姿勢の問題ではありません。判断を減らす方向に働く仕組みや評価の積み重ねによって生じます。判断を取り戻したいのであれば、個人に責任を戻すのではなく、判断が許容される構造を作る必要があります。