調整役が固定化する組織の構造

組織の中で、特定の人が調整役として頼られ続ける状況があります。部署間の意見をまとめ、対立を和らげ、物事を前に進める存在は、一見すると組織にとって欠かせない役割に見えます。しかし、その調整役が固定化すると、別の問題が生じます。

調整役が生まれる背景には、役割や判断基準の曖昧さがあります。どこで誰が決めるのかが明確でない場合、自然と間に立つ人が必要になります。その人がうまく調整できると、周囲はその存在に依存するようになります。

次第に、調整役がいないと物事が進まなくなります。本来は当事者同士で解決できるはずの課題も、調整役を経由することが前提になります。その結果、判断や意思疎通の経路が長くなり、スピードが落ちます。

さらに、調整役に情報と判断が集中します。組織全体の状況を把握しているように見える一方で、その人の負荷は増え続けます。調整役が忙しくなるほど、組織の動きは滞りやすくなります。

この構造は、個人の能力の問題ではありません。調整役が必要とされる状態が、組織の設計として固定化されていることが原因です。調整役が優秀であればあるほど、その構造は温存されやすくなります。

調整役の固定化に気づいたときは、その人を増やすよりも、なぜ調整が必要になっているのかを見直す必要があります。役割や判断の境界を整理し、直接やり取りできる構造を作らなければ、調整役への依存は解消されません。